建物設置型太陽光発電システムとオフグリッドソーラーシステムの違いとは?

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汎用性が高い再生可能エネルギーが太陽光発電

太陽光発電は、持続可能なエネルギー源として注目されており、さまざまな種類のシステムが存在します。その中でも、特に「建物設置型太陽光発電システム」と「オフグリッドソーラーシステム」の違いは、多くの方が興味を持つポイントです。

この記事では、この二つのシステムの違いについて分かりやすく解説し、導入時のメリットやデメリットについても詳しく見ていきます。

建物設置型太陽光発電システムとは?

定義と概要

建物設置型太陽光発電システムとは、主に住宅や商業施設、工場などの屋根や壁に設置される太陽光発電システムのことを指します。太陽光パネルを設置し、電力を発電して直接電力網(グリッド)に接続するシステムで、発電された電力は自家消費されるか、余剰電力は電力会社に売電されます。

メリット

  1. 売電可能
    建物設置型システムの大きな利点は、発電した電力を使用するだけでなく、余った電力を電力会社に売電できることです。これにより、システム導入費用を回収することが可能です。
  2. 安定した電力供給
    このシステムはグリッドに接続されているため、太陽が照っていない夜間や天候が悪い時でも、電力を安定して供給することができます。
  3. 住宅価値の向上
    住宅や建物に太陽光発電システムを設置することは、エコ意識の高まりとともに物件の価値を向上させる要素の一つとして考えられています。

デメリット

  1. グリッド依存
    建物設置型の太陽光発電システムは、電力網に接続されているため、停電が発生した場合はシステムも停止することがあります。
  2. 電力会社の契約条件
    売電価格が固定される期間が終わると、売電単価が下がるリスクがあります。また、電力会社との契約条件によっては、予期しない費用が発生することもあります。

建物設置型太陽光発電システムの構成

太陽光パネル(ソーラーパネル)

  • 太陽光を電気に変換する役割を持つ、システムの中心的な要素です。通常、複数のパネルが直列に接続され、屋根や壁などに設置されます。

パワーコンディショナー(インバーター)

  • 太陽光パネルが生成した直流電力(DC)を、家庭や企業で使用できる交流電力(AC)に変換する装置です。これにより、発電した電力が建物内の家電製品や照明などに利用可能になります。

接続箱(コンバイナーボックス)

  • 太陽光パネルの複数の出力を一つにまとめる役割を担います。これにより、パネルからの電力を効率的に管理し、インバーターへ送ります。メーカーによっては、パワーコンディショナーと一体になっている製品もあります。

配線・ケーブル

  • 太陽光パネル、パワーコンディショナー、接続箱などを接続するための配線です。電力の効率的な伝達を行うため、耐久性や電圧に応じた適切なケーブルが使用されます。

メーター(電力計)

  • 発電した電力のうち、自家消費分と売電分を計測するメーターです。電力会社との契約に基づき、売電量を測定するための重要な装置です。

グリッド接続(配電盤・電力網)

  • 建物設置型システムは電力網に接続されているため、発電した電力を自家消費できない場合、余剰電力を電力網に売電することができます。余剰売電を行う場合は、系統連系接続の手続きが必要です。
    また、夜間や発電量が不足する場合には、電力網から電力を購入することも可能です。

その他に、店舗によっては受変電設備の改造や、ダウントランスなども導入する場合もあります。

オフグリッドソーラーシステムとは?

定義と概要

オフグリッドソーラーシステムは、電力網に依存せずに独立して電力を供給するシステムのことを指します。主にバッテリーを組み合わせて、太陽光から発電した電力を蓄電し、必要なときに使用するという構造になっています。

山間部や離島など、電力インフラが整っていない地域でよく用いられるシステムです。但し、建物設置型太陽光発電システムでも、完全に創った電気を売電せず自分で使用する場合は、オフグリッド型の一種となります。

メリット

  1. 完全な独立性
    オフグリッドシステムは電力網に接続されていないため、停電の影響を受けません。完全に自立して電力供給を行うため、災害時などでも安心です。
  2. 電力コストゼロ
    電力会社から電力を購入する必要がないため、毎月の電気代が発生しません。初期投資さえ行えば、以降の運用コストは非常に低く抑えることができます。
  3. 遠隔地での利用可能
    電力網がない地域や、電力供給が不安定な地域で利用できるため、農場やキャンプ場、山小屋などで広く活用されています。

デメリット

  1. 大容量のバッテリーが必要
    オフグリッドシステムでは、発電した電力を蓄えるバッテリーが必要です。しかし、バッテリーの容量が限られているため、長期間の曇天や雨天では電力が不足する可能性があります。
  2. 高コストの初期投資
    オフグリッドシステムはバッテリーや蓄電設備が必要なため、初期費用が高くなりがちです。また、バッテリーは定期的な交換が必要なため、維持費用も考慮する必要があります。
    蓄電池設備の法定耐用年数は6年。
  3. エネルギー効率の低下
    バッテリーを介して電力を供給するため、変換ロスが発生します。これにより、エネルギー効率が低下し、発電した電力のすべてを効率的に使うことが難しくなります。ただ、建物設置型太陽光発電システムも同様です。

オフグリッドソーラーシステムの構成

オフグリッドソーラーシステムは、電力網に接続されていないため、自己完結型のエネルギー供給システムです。主に遠隔地や災害時のバックアップ電源として使用されます。主な構成要素は以下の通りです。

太陽光パネル(ソーラーパネル)

  • 建物設置型と同様に、太陽光を直流電力に変換するパネルです。オフグリッドシステムでも、このパネルが主な電力源となります。

パワーコンディショナー(インバーター)

  • 直流電力を交流電力に変換する役割を持ちます。家庭やビジネスで使用する機器に適した電力を供給します。

バッテリー(蓄電池)

  • オフグリッドシステムの最も重要な構成要素の一つです。太陽光パネルで発電した電力の余剰分を蓄電し、夜間や悪天候時に電力を供給します。バッテリー容量により、どれだけ長く電力を使用できるかが決まります。
    建物設置型太陽光発電システムの場合は、蓄電池と言われ、オフグリッド型の場合は、バッテリーと言われる場合があります。ただし、バッテリーと蓄電池は同義です。

バッテリー管理システム(BMS: Battery Management System)

  • バッテリーの状態を監視し、過充電や過放電を防ぐシステムです。バッテリーの寿命を延ばし、安全に運用するために重要な役割を果たします。

チャージコントローラー

  • 太陽光パネルからバッテリーに電力を充電する際、過充電を防ぎ、最適な充電を行うための装置です。これにより、バッテリーの長寿命化とシステムの効率性を高めます。

オフグリッド配電盤

  • オフグリッドシステム内で発電・蓄電された電力を適切に管理し、必要な場所に供給するための配電盤です。グリッドに接続されていないため、全ての電力は内部で完結します。

バックアップ発電機(オプション)

  • バッテリーが不足した場合や天候が悪く発電量が少ない時に、発電機がバックアップ電源として稼働することがあります。
    特に電力供給が長時間必要な場合、これが重要な役割を果たすことがあります。LPガス発電機や小型発電機など様々あります。

建物設置型太陽光発電システムとオフグリッドソーラーシステムの比較

電力供給の安定性

建物設置型太陽光発電システムは、グリッドに接続されているため、天候や時間帯に関わらず安定して電力供給が可能です。

これに対し、オフグリッドソーラーシステムは、バッテリー容量に依存するため、長期間の電力供給を確保するには、十分な容量のバッテリーが必要です。

初期投資とランニングコスト

初期費用の点では、建物設置型システムの方がコストが低くなる傾向があります。これは、バッテリーや蓄電設備が不要なためです。ここ最近は、助成金や補助金を活用し導入されるお客様も増えてきました。

しかし、オフグリッドシステムは電力会社に依存しないため、長期的には電気代がかからないというメリットがありますが、初期投資が大きくなる場合もあります。

建物設置型太陽光発電かオフグリット型のどちらを選ぶかは導入目的によると言えます。

利便性

都市部や住宅密集地に住む場合、建物設置型システムが適しています。一方で、電力インフラが整っていない地域や、災害時の自家発電を重視する場合は、オフグリッドシステムの方が利便性が高いです。

どちらを選ぶべきか?

導入するシステムを選ぶ際には、使用環境や目的によって適したものを選ぶことが重要です。例えば、都市部で安定した電力供給が必要であれば、建物設置型の太陽光発電システムが適しています。

一方で、遠隔地や停電が心配される地域では、オフグリッドソーラーシステムがより適しているでしょう。

また、両システムを組み合わせて使うハイブリッド型のソリューションもあります。これは、グリッドからの電力と、蓄電池を組み合わせて使うことで、停電時でも電力供給を確保できるというメリットがあります。

今後の太陽光発電システムは、さらに柔軟な選択肢が広がるでしょう。

まとめ

建物設置型太陽光発電システムとオフグリッドソーラーシステムの違いは、主に「電力供給の安定性」「初期投資」「維持コスト」「利便性」にあります。

どちらを選ぶかは、個々のニーズや環境、予算に応じて慎重に判断することが大切です。

太陽光発電は、今後もさらに進化し続ける分野であり、それぞれのシステムにはメリットとデメリットがあります。これらを理解した上で、自分に合ったシステムを導入することが、エネルギーコスト削減や環境保護に繋がるでしょう。

ペロブスカイト太陽光電池の実用化も今後期待できる分野です。

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この記事を書いた人

カーボンフリー社会の実現が2050年。エコや電気に関することは、これからもずっと続くエコライフ!環境にやさしい商品や再生可能エネルギー、何かいい情報がありましたら、ご紹介してきます。日記としても書いていきます。〈保有資格〉宅地建物取引士・FP・貸金業取扱主任者

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