再び動き始めた太陽光発電
企業や工場が再生可能エネルギーを導入する際、「完全自家消費型」と「オンサイトPPA」の2つの方法があります。どちらも環境に優しく、コスト削減の可能性がありますが、メリットとデメリットがそれぞれ異なります。
この記事では、完全自家消費型とオンサイトPPAの特徴、メリットとデメリット、そしてどちらを選ぶべきかについて詳しく解説します。
完全自家消費型とは?
完全自家消費型とは、設置した太陽光発電設備で発電した電力を自社で全て使用するシステムのことです。電力は主に昼間に発電されるため、その時間帯の電力使用量が多い企業にとっては効率的です。
メリット
- コスト削減:発電した電力を全て自社で使用するため、電力購入コストが削減されます。
- 安定した電力供給:電力会社からの供給に依存せず、自社の発電設備で安定した電力供給が可能です。
- 環境負荷の軽減:再生可能エネルギーを活用することで、CO2排出量が削減され、環境保護に貢献できます。
デメリット
- 初期投資が高額:設備導入には多額の初期投資が必要です。
- 日照条件の影響:発電量が日照条件に左右されるため、天候に依存する不安定な電力供給となります。
- 余剰電力の処理:発電量が使用量を上回る場合、余剰電力の処理が課題となります。
オンサイトPPAとは?
オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)とは、発電事業者(第3者)が企業の敷地内に太陽光発電設備を設置し、その発電した電力を企業が購入する仕組みです。企業は初期投資なしで再生可能エネルギーを導入できるメリットがあります。
メリット
- 初期投資不要:企業側は発電設備の費用負担が不要で、運営リスクも発電事業者が負担します。
- 長期の電力供給契約:電力供給契約期間が長く、安定した電力供給が確保できます。
- 電力コストの固定化:電力単価が契約時に固定されるため、長期間にわたる電力コストの予測が立てやすくなります。
デメリット
- 契約期間の制約:通常、10年から15年、20年の長期契約が必要で、契約期間内の変更が難しいです。
- 電力単価の変動リスク:契約した電力単価が固定されている場合、電力市場の変動により、電力単価が相対的に高くなる可能性があります。
- 運営リスクの影響:発電事業者の経営状態に左右されるリスクがあります。
完全自家消費型とオンサイトPPAの違い
完全自家消費型とオンサイトPPAは、どちらも再生可能エネルギーを活用しますが、導入方法やコスト、リスクなどが異なります。以下の比較表で両者の違いを簡単に確認できます。
特徴 | 完全自家消費型 | オンサイトPPA |
---|---|---|
初期投資 | 高額 | 不要 |
運営リスク | 企業が負担 | 発電事業者が負担 |
契約期間 | 柔軟 | 長期固定 |
電力コストの予測性 | 不安定 | 安定的 |
環境負荷の軽減効果 | あり | あり |
どちらを選ぶべきか?
企業のニーズや状況に応じて、どちらの方法が適しているかを判断する必要があります。例えば、初期投資を抑えつつ、長期的な電力供給を望む企業にはオンサイトPPAが向いています。
一方で、エネルギー自給率を高めたい企業や、電力市場の変動リスクを取りたくない企業には完全自家消費型が適しているでしょう。
完全自家消費型が適しているケース
- 自社で安定的に電力を供給したい。
- 金融機関から資金調達ができる体制が整っている。
- 環境保護に積極的に取り組んでいる。
オンサイトPPAが適しているケース
- 初期投資を抑えたい。
- 長期的な電力供給契約に安定性を求めている。
- リスクを発電事業者に委ねたい。
まとめ
完全自家消費型とオンサイトPPAは、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。企業の財務状況、再生可能エネルギーへの取り組み方、リスク許容度などを考慮し、最適な方法を選択することが大切です。
導入前には必ず専門家の意見を取り入れ、具体的なシミュレーションを行うことで、より正確な判断が可能となります。