2030年から徐々に太陽光パネルの廃棄時代が始まっていく!?

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2012年7月から固定価格買取(FIT)制度がスタート!

2012年7月から始まった固定価格買取制度がスタートし、2012年に認定がとれ太陽光発電事業として電気を売った場合は、1kwhあたり40円(税別)です。2024年の現在では、急激に市場が成長し、不安定な電源である太陽光発電のFIT制度が見直され、さらにルールが細分化されました。50kw以上(土地設置・入札対象外)で1kwhあたり9.2円(税別)。

10年前FITの売電単価と比較すると4分の1弱の売電単価になりました。2012年当時の太陽光発電は、FIT制度の恩恵も受けてもの凄いスピードで申請もされ、業務も忙しかった思われます。日本でもこのFIT制度は、民間企業が行うビジネスでは初で、世の中的にも新規事業のゼロスタートの時期でした。

FIT制度でによって、新しいビジネスが誕生して金融機関も事業性融資への転換

このFIT制度が無ければ、ほぼ中堅・中小企業が大型の太陽光発電所を所有することは難しかったでしょう。リース会社がファイナンスに取り組み、市場を切り開いて、その後に銀行が、特に地方銀行が積極的に太陽光発電の融資を行ってきました。

2012年から数年経ち、ようやくプロジェクトファイナンスとは?、再生可能エネルギーの事業性をどうみるのか?と言ったガイドブックが出来上がり、全体的な再生可能エネルギー事業の実現化をするための「てにをは」を教えてくれるベースができあがった時期です。

太陽光発電システムの事業計画上の廃棄コストは「建設費×5%」

その当時の太陽光発電システムの20年後の廃棄コストの考え方は、「建設費×5%」です。

当時の建設費相場は、1メガあたり3.5億円以内。これに×5%を掛けますと1,750万円相当の廃棄コストを計画しなければなりません。ただ、貯められる簿記上の勘定科目って無いわけです。

P/Lの未処分利益の相対する勘定科目は、現金です。これをしっかり管理するには、口座をそれ用に開設して分別管理するぐらいできない時代です。マンションで言うと修繕積立金は、修繕費、管理費の何れも費用。お金が他へキャッシュアウトする仕組みです。

そのような当時の状態があり、それと同時に2012年から毎年毎年、太陽光発電を中心に設備が造られ、売電開始スタートするとともに、20年後の満了時期も予測できるようになりました。

しばらく経ってから試算した結果、「環境省は処理が必要になる太陽光パネルは年間50万~80万トンに上る予想」となったわけです。太陽光パネルは、6割以上ガラスです。もしこの予測通りになった場合、処分する側=排出者側で負担して処分しなければなりません。そもそも排出者が廃棄できるのかと言う問題が浮上しました。

参照元:日経、環境省

2022年7月から「太陽光発電設備の廃棄費用積み立て」の義務化へ

「建設費×5%」では自助努力に過ぎず、そのままキャッシュが20年後に残されているのかも分からない。途中転売では、キャッシュの引継ぎも不明確であるため、とうとう廃棄積立制度が必要になってきました。実態は、資源エネルギー庁の2019年の調査で廃棄費用を積み立てている発電事業者が2割以下だったことが判明したからです。

2割弱だと、将来廃棄するための処分費を捻出できないと言うことです。その状態から改善するために2022年7月の「改正再エネ特措法」により「太陽光発電設備の廃棄費用積み立ての義務化」が開始することになりました。

参照元:資源エネルギー庁

対象は、10kw以上すべての太陽光発電※FIT・FIPの認定事業者=売電事業者。FIT案件なら、売電金額と積立金額の相殺になります。これが源泉徴収的と言われる所以でしょう。

積み立ての時期は??どうなのでしょうか。時期は、調達期間(FIT)/交付期間(FIP)の終了前10年間です。

2013年1月に売電稼働した太陽光発電であれば、2023年から廃棄積み立てを外部もしくは内部の方式の何れかでスタートされています。下記は、売電開始年から10年後=積み立て開始の年を簡易的に作成しました。

積み立て開始期間が分かり、実際の積み立ての算出根拠はと言う事になります。それが、下記の表です。例えば2012年の認定案件40円の場合は、「実発電量kWh×解体等積立基準額1.62円/kWh」です。

当時(2012年)の建設コストの相場は、1メガ約3.5億円と想定した場合、×5%だと、約1,750万円が廃棄コストです。新たに開始された廃棄積み立て制度になりますと、どのくらい積み立てなければならないのでしょうか。

約1,600万円を残り10年に渡って積み立てていくことになりますので、ほぼ「建設費×5%」の近似値に近いです。1メガ3億円の案件もありましたし、3億3000万円の案件もありました。

さらに大量廃棄時代に新しい仕組みをできていきそうです。

太陽光パネルのリサイクル義務化?

これで廃棄積立制度の確立したので、安心です。と思った所ですが、2024年6月11日に「太陽光パネルのリサイクル義務化へ 政府、法制化」と言う記事が発表されました。目的は大量の埋め立て処分を減らし環境負荷を抑える狙いです。2025年の通常国会にも関連法案を提出する流れで事が進んでいます。

参照元:太陽光パネルのリサイクル義務化へ 政府、法制化検討

法レベルと経済レベルでは、ギャップがあり、現在では新しいビジネスが展開し始めています。

2012年から10年経過して太陽光パネルの寸法が変わった!

2012年からFIT制度がスタートし、最初の頃の太陽光パネルは多結晶から始まり現在は、単結晶一択となっています。開始当初は、235W/枚(ソーラーフロンティア製170W前後)のパネルが今や600W/枚を超えるほどに。

230Wのパネルで1メガの発電を建設する場合、太陽光パネルの枚数は、4348枚(面積7,025㎡)。640Wのパネルだと1563枚(面積4,369㎡)です。大分削減されました。

仮にFITであれば調達期間の20年間、ずーっと交換しなければ、2030年以降230Wから350W前後のパネルが排出されるのでしょう。ただ、現在のパネルは640Wレベル。現在に何が行われているかと言いますと「リパワリング」が増えてきています。

10年経過して、「リパワリング」が増えてきた!

10年が経過して、太陽光パネルも進化していますので当時設置したパネルと現在のパネルを全体の発電出力を変えずに新しいものに交換するビジネス。これが「リパワリング」なのですが、オフィスで考えるとコピー機の入れ替え、個人レベルで考えると分割で購入したスマホを新しいものに変えることです。

太陽光パネルを入替えると同時にパワーコンディショナーも交換されている施主もいらっしゃいます。太陽光パネルのみの交換、パワーコンディショナーのみの交換も何れも「リパワリング」と言います。

一方メーカーの製品保証は10年~15年、出力保証は25年~30年と超長期です。まだまだ使用できるパネルが、先行して入替え作業が始まっています。

と言うことは・・・、2030年以降そのように増えるのでしょうか??

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この記事を書いた人

カーボンフリー社会の実現が2050年。エコや電気に関することは、これからもずっと続くエコライフ!環境にやさしい商品や再生可能エネルギー、何かいい情報がありましたら、ご紹介してきます。日記としても書いていきます。〈保有資格〉宅地建物取引士・FP・貸金業取扱主任者

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