電力会社の送電網に依存しないオフグリッドシステム
近年、環境への意識の高まりや災害時の電力確保を目的に、太陽光発電による「オフグリッドシステム」の注目度が上がっています。オフグリッドシステムとは、電力会社の送電網に依存せず、太陽光発電を利用して自宅や施設に電力を供給する仕組みです。
この記事では、太陽光オフグリッドシステムの基本的な仕組みとそのメリット、デメリットをわかりやすく解説し、導入を検討する際に考慮すべきポイントを紹介します。
オフグリッドシステムとは?
オフグリッドの意味
「オフグリッド」とは、電力網(グリッド)から離れるという意味で、一般的な送電線に頼らず、自家発電で電力をまかなうことを指します。主に太陽光発電や風力発電を用いた自家発電と蓄電池を組み合わせ、完全に独立した電力システムを構築します。
太陽光発電を使ったオフグリッドシステムの仕組み
- 太陽光パネルで発電
屋根や敷地に設置された太陽光パネルで、日中の太陽光を利用して電気を生成します。 - 蓄電池に電気を蓄える
太陽光で発電された電力は、余剰分を蓄電池に貯めておき、夜間や曇天など発電量が少ないときに利用します。 - インバーターで家庭用電力に変換
発電された直流電流(DC)を、家庭で使える交流電流(AC)に変換し、照明や家電に電力を供給します。 - 電力の管理
エネルギーマネジメントシステム(EMS)で、電力消費量や蓄電池の残量をモニタリングし、効率的に電力供給を行います。
完全自家消費型太陽光は、オフグリッドの一種ですが、完全一致ではありません。
オフグリッドにするメリットとは?
電力の自給自足が可能
オフグリッドシステムを導入する最大のメリットは、完全に自立した電力供給が可能になることです。電力会社に依存せずに生活できるため、電気代が発生しません。特に電力料金の高騰が予想される現代において、長期的なコスト削減が期待できます。
災害時でも電力が確保できる
日本は自然災害が多い国であり、停電のリスクも高いです。オフグリッドシステムは、外部からの電力供給に頼らないため、地震や台風などの災害時でも電力を使い続けることができます。
特にライフラインが断絶される可能性のある地域では、災害対策として非常に有効です。
環境にやさしいエネルギー利用
太陽光発電を主力とするオフグリッドシステムは、クリーンエネルギーです。化石燃料を使わないため、温室効果ガスの排出を抑えることができ、地球温暖化防止に寄与します。
また、再生可能エネルギーの活用が増えることで、エネルギー自立性が高まり、持続可能な社会の構築にも貢献します。
4. 電力網の制約を受けない
特に離島や山間部など、電力網が整備されていない地域でも、オフグリッドシステムを導入すれば電力を確保できます。
これにより、過疎地や開発途上国での電力供給インフラとしての利用が期待されています。
オフグリッドにするデメリットとは?
初期コストが高い
オフグリッドシステムを導入する際、太陽光パネルや蓄電池、インバーターなどの設備が必要になります。これらの機器の導入費用は場合によっては高額になる可能性があり、初期投資コストが大きなハードルとなる場合があります。特に蓄電池の価格が高いです。
また、蓄電池の容量によっては、長期間の停電に対応できないこともあり、十分な電力を確保するためにはさらに多くの蓄電池が必要になることもあります。
天候に左右される
太陽光発電は天候に大きく影響を受けます。日照時間の短い冬季や雨天・曇天が続くと、発電量が大幅に減少し、電力供給が不安定になる可能性があります。長期間の天候不順に備えて、蓄電池の容量を確保しておく必要がありますが、蓄電池の容量が不足すると、電力の利用を制限せざるを得ません。
システムのメンテナンスが必要
オフグリッドシステムを安定的に稼働させるためには、定期的なメンテナンスが必要です。太陽光パネルの清掃や、蓄電池の劣化状況の確認、インバーターの動作確認など、機器のメンテナンスを怠るとシステムが正しく動作しなくなることがあります。
太陽光パネルは影に弱く、5枚のうち1枚に影がかかると全体が影にかかった1枚のパネルの出力に引っ張られます。ただ、ここ最近では全体を最適化するオプテマイザーの商品も出始めました。
電力消費の制限がある
オフグリッドシステムは、自分で発電した電力のみを使用するため、消費電力を管理する必要があります。蓄電池が満充電でないときや、発電量が少ないときには、電力消費を抑える工夫が求められます。家庭全体の電力消費をコントロールしなければならない点が、使い勝手に制約を与える可能性があります。
オフグリッドシステム導入のポイント
適切な蓄電池の選定
オフグリッドシステムの成功には、蓄電池の選定が重要です。どの程度の電力消費を想定しているか、夜間や天候不良時にどれだけの電力が必要かを事前に計算し、それに見合った容量の蓄電池を選ぶことが肝心です。
蓄電池を導入したオフグリッド型をお考えの方は、ここが大切なポイントです。
適切な規模のシステム設計
家庭や施設の電力消費量に応じて、太陽光パネルの枚数や蓄電池の容量を適切に設計する必要があります。必要以上に大規模なシステムを導入するとコストがかかり過ぎ、逆に小さすぎると電力不足に陥る可能性があります。事前にしっかりとしたシミュレーションを行うことが重要です。
天候リスクを考慮
太陽光発電の特性を踏まえ、地域の気象条件も重要なポイントです。日照時間が多い地域ではオフグリッドシステムが有効ですが、曇天や雨天が続く地域では別のエネルギー源との併用も検討する必要があります。
どの地区も雨や曇りにならない時期はありません。誰でも簡単に年間発電量は計算可能です。
まとめ
太陽光オフグリッドシステムは、エネルギー自給自足の生活を実現できる有力な手段です。環境負荷を軽減し、災害時の電力供給を確保できる点で大きな魅力があります。しかし、初期コストや天候依存、メンテナンスの負担といった課題も無視できません。
〈参考情報〉